民芸品 ピューター

う~ん、高いなぁ~

 

ほしいと思ったピューターのカップ1組の値段は、事前に調べた値段の3倍だった。他の店が見つけられず、日本語で宣伝を書かれた店は高かった。ペナン島のランドマークタワー コムタでピューターを探したが、売っていなかったので、最後にのぞこうとしていた店だ。

 

ピューターのカップに炭酸飲料を注ぎ、飲ませてくれた。保温性に優れた錫97%の容器は、冷たく、乾いた喉をうるおしてくれた。

 

でも3倍の値段に納得がいかなかった。

 

「ちょっと考えるよ」

 

と、他の店が見つからなかったら、ここで買うしかないなあと思って店を出た。

 

では、すぐ隣の古びた店は何を売っているのか?目を凝らしてみると隣でもピューターを売っているではないか。

 

店に入るとすぐに眼鏡をかけた主人が商品を勧めてきた。彼の歯は数本抜けていた。値段を聞くと相場の値だった。品物はさっき見たので同じものだとすぐに分かった。

 

でも、どうして隣どうしで値段に3倍のひらきがあるのか?それを知りたくなった。おそらくぼくはこの時、疑いの目で主人を見ていたのだろう。主人の説明は、疑いをかけられた容疑者のようだった。

 

「隣の店はとても高い!タクシーで来て、買ったらまたタクシーで帰ってしまう時間のない日本人客がくるんだ」

 

と、言い訳のようだった。

 

ぼくは、まだ疑っていた。

 

「自分はここで40年間、店を開いている、信じろ」

 

と、言って証拠品を出した。それは、ここで買い物をした日本人駐在員たちの名刺のホルダーだった。さらに何月何日に販売したか帳簿らしきものも見せてた。

 

「ここで働いている日本人は、私の店の方が安いと知っているから帰国前にお土産を注文しにくるんだ」

 

そうか!わかったぞ。隣に客を連れてくるタクシーの運転手は、店からバックマージンをもらっていたんだと。

 

それでは最後に108リンギッドを100にまけて欲しいと言ってみた。

 

「できない。この値段でもうまけているんだから」

 

主人は価値の合った相場で販売をしていた。ぼくの中では納得していた。もしニセものでいいだろうと。そして購入。

 

主人は親切にジョージタウンに戻るぼくたち家族に無料バスの乗り場は警察の向かいのバス停だと教えてくれた。

 

いい買い物をしたとバスの席に座ってニヤついた。ただ納得いかないのは、なんで3倍の値段で売っている店の主人の方が店構えも立派で裕福そうなのに、正規の値段で売っている主人は歯も入れることができないかということだった。