ラピド・バス 201

羽田空港を飛び立つ飛行機の中でお土産を買い忘れことを悔やんだ。せっかくペナン島によるのだから、友人に菓子の土産でも買うんだったと。

 

ペナン島に華僑マレーシア人の友人がいた。以前にも訪ねたことがある。

 

二十数年前に島のテロクバハンに投宿して近くのビーチに日光欲しに来た時、彼は地元の友人とともに観光客を馬に乗せる仕事をしていた。客を馬に乗せ、浜辺を歩かせて楽しませるのだ。その時に彼に声をかけられ親しくなった。馬は自分で所有していると言う。

 

 

彼は、自家用車で島を案内し、食事をご馳走してくれた。ぼくは、彼の好意に甘えた。そして、ここが自分の家だと案内してもくれた。家は、菓子屋で独自の中国風菓子の販売をしていた。

 

それから数年後にタイのヴィザ申請のために再びペナン島に来たことがある。バスでタイ領事館に行こうとしたが、乗車したバスは違うところへ向かった。窓から見事に高い塔のパゴタといくつかの寺の屋根が見えた。こんなところがペナン島にあるんだと思った。運転手にここで折り返すから降りろと言われ降りたところが見覚えのある彼の菓子屋だった。思わぬ偶然に店に立ち寄ると、なんと彼がいるではないか。彼は前回と同じように食事をご馳走してくれた。

 

ただ気になっていることがある。バイク好きの彼に日本のバイク雑誌を送ってくれるように頼まれていた。お礼もかねて送ったが届かなかった。そのことを2度目に会ったときに言われた。そして2度目も送ったが彼から音さたはなかった。また届かなかったのだろうと内心思っていた。

 

そして今回の旅でもタイのヴィザ申請のためにペナン島によった。

 

もう20数年以上前なので彼の住所は分からなくなっていた。頼りは記憶だけ。菓子屋、見事なパゴタと寺、そしてバスの折り返し地点。

 

昨日も訪問を試みたが、着いてみると見覚えのない寺だった。

 

また今日も探しに出かける。もし、また違ったら見事な寺を見学すればいいくらいに思っていた。

 

ジョウージタウンからバスに乗る。40分もすると高いパゴダが見えてきた。おそらくここが彼の住んでいる街だろう。街は観光客と土産物屋でごった返している。寺を目の前にして車で渋滞し、バスは動かなくなった。バスの客は歩くことにしたのか、次々に降りた。ぼくらもそれに続いた。

 

よく見て菓子屋の店を探した。目当ての菓子屋らしき店は見当たらない。また見当違いだったか?

 

仕方なく寺を見学をすることにした。極楽寺と言うらしい。寺は山肌にいくつもの建物が折り重なるように建っていた。中には金ピカの観音像があり、庭はきれいに整えられ南国のプルメリアが咲いていた。

 

見つけられなかったことが頭を駆け巡っていた。記憶違いだったと。20年以上も前のことだ。よく覚えていない。

 

見学を終えて食事でもして戻ろうと店を物色していたときに

「あのシャッターの閉まっているお店じゃないの?」

と、妻に言われた。

 

看板には龍珠餅 DORAGON BALL BISCUITなどと書かれている。店の前には、HONDAの車が駐車されていた。ここなのかもしれない。自分のなかの記憶が少しずつ確信に変わってきた。でも閉まっているなら仕方ない。ここまでだ。

 

備え付けのポストに訪ねたことを書き添えた名刺を入れてきた。他の郵便物も投函されていた。

 

近くで昼食をすましてバス停でバスを待った。201番のバスが右折して折り返してきた。

 

ペナン