ダイヤモンドウォール
ここタイのライレイは、奇怪な石灰岩に囲まれたクライミングのさかんな場所でもある。
クライミングのためにハーネス等のクライミンググッズを持参していた。クライミングはひとりではできないスポーツだ。命綱の確保をしてくれるパートナーを必要とするからだ。クライミングショップで申し込むと4時間でマンツーマンで3000バーツ(約1万円)する。以前来たときよりもだいぶ値上がりしていた。さすがにマンツーマンの料金は出せないし、数年ぶりの岩登りで自信もなかったので初心者コースのグループに参加した。
今日取り付くダイヤモンドウォールは宿の目の前にある。妻と娘も見に来た。ぼくは経験者なので、早速、ショップのクライマーガイドの確保を任された。なんせ数年ぶりなのでロープの正しい確保の仕方を忘れていた。間違いを指摘され、直しながら確保する。命がけのスポーツなのだから当たり前だ。ぼくも結び方のwチェックをパートナーにするのも怠らない。
トップロープ(最上部のアンカーに通したロープをパートナーに確保してもらいながら登る安全な登り方)でも久しぶりの壁を目の前にするとおののいた。以前、登ったことのある壁ではあるが。クライミングシューズは、つま先からかかとまですき間がない。クライマーは足が入るか、入らないかのギリギリのシューズを使用している。もちろん歩けないし、いつまでも履いていると足のつま先が痛くなってくる。
最初のルートは、平均台を渡るように簡単に到着地点に登れた。肩慣らしみたいなものだ。3本めのルートから核心(このルートの中で一番難しいところ)がでてきた。3本目、4本目と完登した。
5本目から疲れがでてきた。指先はしびれを感じ、腕の筋肉のはりがある。そろそろ限界か?
初めての参加者は、3本くらいで、それ以上やらずに帰ってしまった。それならこっちの出番だ。代わりにその分登らせてもらうよ。
ショップのガイドが新たなルートにロープをかけに登る。確保を任された。
6本目。もうつま先が痛い、手の力が無くなり体が壁から離れた。でもトップロープだから大丈夫。
ガイドが下からホールドを叫んで教えてくれる。もうこれであきらめて降ろしてもらおうと思いながらも、最後のクライミングで登れないで終わるのもしゃくなので、ロープにテンションをかけながらも強引に体を押し上げた。
隣にあるトンサイビーチは、クライマーが集まっている。前回来た時はガイドの案内でいくつか登ってみた。その時は事前の室内クライミングで練習もしてからトンサイのクライミングに挑んでいた。
6本目は体力的に限界だった。でも今回もまたトンサイで登りたいとショップを訪ねた。
しかし
「オーバーハングを越えられるか?」
と、ショップでガイドに逆に尋ねられた。
「トンサイに連れて行ってもオーバーハングが登れなければ、ハッピーじゃないだろう。そんなお前を見るおれもハッピーになれない。ライレイならお前のレベルでも楽しめるルートがたくさんあるから、ここにしとけ」
練習もしていなかった今回のブランクは大きい。トンサイには、面白いルートがたくさんあるが、初心者は楽しめるレベルにない。トンサイのルートは見るだけにとどまり、今回はあきらめるしかなかった。
こんなもの食べてます