癒しのサンタナロッジ
インドの大都会、デリー。街の移動手段 リキシャ(三輪人力車)との料金交渉の末にぼったくられ、街を歩けば鴨にしてお金を巻き上げようと寄ってくる輩ばかり。そんな旅に疲れていた。
東海岸にあるプリー。海沿いにたたずむ日本人の疎開場所のようなゲストハウス サンタナロッジ。ここに行けば朝昼夕3食、チャイ(紅茶)5杯付きで日本語を話すインド人オーナーのもてなしが受けられると、以前、日本旅行者から耳にしていた。癒されるには、もってこいの地だと。
逃げ出すようにデリーを出た。
サンタナロッジのまだ10代の青年のクンナは、利発に見える。日本語は、日本人のように流ちょうに話した。彼の話は面白く、人柄は誠実ですぐに好きになった。
「インド人は、信用できない」
と、クンナは言う。
「じゃあ、誰なら信用できるの?」
と、聞くと
「日本人」
と言われた。
大みそかの夜、正月を迎えようとクンナとヨーロピアン、日本人の旅行者たちで宿の共用の空間に集まっていた。場を盛り上げようとクンナは、気をきかせて火をともしたロウソクをそれぞれに手渡した。
新年をみんなで迎えた。
「目を細めてロウソクを見てごらん」
と、クンナはヨーロピアン旅行者の女性に言葉を投げかけた。
「どう?炎がぼやけてロマンティックでしょっ」
元旦の朝、ロッジ前の海にて少し緩い潮風に吹かれた。とろどころに白波がたつ。色が薄まったような景色。砂浜に腰を下ろして海を見ていると、まどろみそうになる。穏やかな新年が訪れた。
それから数日後、日本人旅行者とともにクンナは、日本へ出発した。今度は、彼が旅行者となる。果たしたて、何を見て、何を彼自身は感じるのだろうか。
追記:クンナの情報ページを見つけました。とても立派になられて嬉しいです。
http://www.minnanominami.com/contents/santana/kunna.html