カオサンロードにて
これから東南アジアの旅に出発するものは新たな出来事に期待感を抱き、旅の終着地点にするものは今までの旅に哀愁、または長旅に疲れた倦怠をもって、ここバンコクのカオサンロードにやってくる。
自分も何度となくやって来た。
バックパッカーを受け入れてくれる安宿、バンコクを起点に様々な東南アジア行きバスチケットを販売する旅行会社、ツーリスティックなレストラン、タイマッサージ屋、土産物屋と旅人のあらゆる欲望を満たそうとしてくれる。
旅行者は入れ替わり立ち代わり去ってゆくが、カオサンロードの喧騒、騒めき、雰囲気はいつもと変わらなかった。
自分が以前に旅していた事実を再確認するためなのか、郵便局、警察署、タイ寺と前回にも来た道を歩く。
旅をしてきた思い、旅を終え帰国する離れ難い思い、これからの日本にてまた生活が始まる思いとあらゆる感情が交差してゆく。
8月31日をもって帰国の途に就く。これからぼくら家族を待っているのは、住んでいたはずの日本なのだけれど、空白の40日近くの日々がある。
空白の40日間は、ぼくら家族にどう影響を与えるのか未知である。
ぼくら家族は帰国するが、これは日本という国に行く旅の始まりまのかもしれないとも思った。