エアポートホテルにて
「そんなに長く何をしに行くのですか?」
「・・・・・」
職場を辞めるて旅に出るので、お世話になった方々に挨拶をしている時に聞かれてうまく答えられなかった。東南アジアのベトナムに行くとか、タイに行くとしか言いようがなく、明確な回答に詰まった。
「人生の洗濯に行くんですね!」
「そうなんです」
と、ぼくはとっさに言ってしまった。
問いかけられて、その相手に答えをもらった格好だ。
バンコクのスワンナプーム国際空港近くのエアポートホテルで思い出した問いかけだった。明日の帰国便が早朝なので1日前にここに宿をとった。
日本では、海外出発まで慌ただしく準備に追われた。飛行機の往きの航空券予約をしたら出国日までの日にちが迫ってくる。荷物の準備、日本不在時の住居、自家用車の管理はどうするか?と出発前にしなければならない用事が色々とあらわれる。
出発前に用事が全部済むのか、分からない状態だった。辞めた職場の荷物は自家用車のトランクに放り込んだままで出国して来た。
今さらながらタイ出国を目前にして、あの問いかけを思い出し、自分に問う。
人生の洗濯は出来たのか?と。